個人音楽教室ならではの強み!

前回までのブログ「鈴木サキソフォンスクール創業秘話①」、「鈴木サキソフォンスクール創業秘話②」で、株式会社マナブミュージックが運営する、サックス専門音楽教室、鈴木サキソフォンスクールの場合を例として、個人音楽教室の立ち上げについて、具体例を紹介しました。今回はもう少し深く掘り下げて、「個人で音楽教室を立ち上げるメリット」について解説したいと思います。もちろん大手音楽教室と比べると、色々と敵わない部分もあります。しかし反対に個人音楽教室の方が有利な部分も、多々あるのです。

利益を上げやすい!

一般的なイメージでは、規模の大きい企業ほど「利益が大きくなる」と思われているかもしれません。確かに大手音楽教室の場合、全ての教室の在籍生徒数を総合すれば、個人音楽教室とは比べ物にならない人数になるでしょうし、生徒から受け取っている毎月の謝礼に関しても、総額にすればかなりの金額になるでしょう。

しかしここからがポイントなのですが、経営の規模が大きくなると、その分収益を上げるための必要経費も巨額になってきます。教室を運営するためのスタッフの人件費、教室の場所を借りるためのテナント費用、宣伝費、諸々を考えればかなりの金額となります。ですから必ずしも、収益から経費を引いた分の利益が大きい金額になるとは限らないのです。しかも大きな組織になれば、仕事を分業にして大人数で取り組む必要が出てきます。その結果、利益も皆で分配する事になります。

それに対して個人音楽教室の場合、例えば自宅で開業すれば、テナントの賃料は必要ありません。諸々の事務作業、その他運営を自分でこなせば人件費もかかりません。つまり必要経費が少額に抑えられるので、利益を上げやすい、言い換えれば、生徒様から頂くレッスン料、謝礼の大部分が収益になるのです。

 

要するに全てを自分でこなせばよいのです。その結果は全て自らのものとなります。これこそが個人音楽教室を経営するメリットであり、醍醐味でもあります。

インターネット時代ならではの宣伝

そうは言えども、現在のように暮らしの中に完全にインターネットが普及する以前は、大手音楽教室の方が圧倒的に有利な部分がありました。商店や飲食店でも、ただ店を開いて待っているだけで、顧客が訪れることはまずありません。何らかの宣伝をして、世間の人々にその存在を知らしめる必要があります。この宣伝について、ネット社会以前は、潤沢な資金力のある大手の方が圧倒的に有利だったのです。

インターネット普及以前の宣伝は、どういうスタイルだったのか?折込チラシ、雑誌広告、新聞広告、立て看板等々、どれも不特定多数の人々に対して、人目に付くようにするためには相当な規模が必要なものばかりです。チラシならばより多くの枚数を、雑誌広告ならば目立ちやすいより大きなスペースで、何度も何度も出稿して・・。宣伝の効果を生み出す、つまり、新規の生徒様に来校いただくためには、最低でも数十万円、継続的な効果を生み出すためには、数百万円単位の費用がかかりました。

資金力の乏しい個人音楽教室では、このような形式の広告を続けることは、資金面から考えると非常に不利となります。たとえ一時期、金銭的に無理して広告を出しても、資金力のある大手が継続的に様々な媒体から広告を出稿している状況の中で、自らの教室の存在感、知名度を高めていくのは、相当に困難なことだったのです。

 

しかし、インターネットの普及によって、広告の世界はがらりと変化しました。必ずしも大手が有利とは言えない状況になったのです。

ネット社会以前は、とにかく大雑把に例えば「楽器を習うなら○○○」みたいなイメージを、人々の間に浸透させることが大切でした。しかし現代ネット社会の人々は、ざっくりと「楽器」ではなく、具体的にサックス(サクソフォン)を習う教室を探します。加えて、教室の所在地はどこ?価格帯は?どんな講師?等々、各人の希望により条件を絞り込んだうえで検索します。例えば「名古屋 サックス レッスン」のように条件を付けて、ネット上の情報を探すのです。

そうなると、もはや大手音楽教室と、個人音楽教室の差は実質的に無くなってしまいます。GoogleとかYahooの検索結果のページ内の順位に関しても、必ずしも大手が上位になるとは限りません。個人でも工夫次第で順位を上げることは可能です。しかも、検索の結果たどり着いたウェブサイト、ホームページの内容によっては、制作にそれほどの費用を費やしていなくても、教室の魅力を十分にアピールすることが可能となります。

個人音楽教室だからこそ!

現代日本では、音楽教室という事業自体、それほど主要な産業ではありません。日本経済全体の中ではごくごく「隙間な」産業だと思います。更にその中で条件を絞って、ネット情報を求めていくという事になれば、ネット社会全体の中では、きわめて「ニッチ」でマニアックな検索をしていることになります。だからこそ、個人音楽教室の場合でも、例えば地域を限定し、楽器を限定し、更に自らの特徴を上手くアピールできれば、必ずや、自分の状況にマッチした音楽教室を探している人々の目に留まる事となります。

しかも、大手音楽教室の場合、ウェブサイト、ホームページは全国共通のものとなります。もちろん費用もしっかりかけて、専門の業者が作成しているものが大半でしょうから、デザイン、見栄えはバッチリ美しく、キャッチコピーその他記事の内容もしっかりと練られたものになっているはずです。しかしだからと言って、楽器を習いたいと考えている生徒様のニーズを満たしているとは限りません。むしろ、より細かく希望が分かれる現代の消費者に対して、魅力的な内容に感じられないかもしれないのです。

大手音楽教室の全国共通のサイトであれば、世の中のより多くの人にとって、まあまあ魅力的に感じられる宣伝が求められます。しかし、個人音楽教室の場合ならば、これこれ、こういう条件を求めている一部の人にとって大いに魅力的に感じられる宣伝が可能となります。ここに個人音楽教室ならではのメリットがあるのです!

インターネットをうまく活用することで、十分に大手音楽教室と共存することが可能となります。ネットこそが経済弱者にとっての最強のツールなのです!今後、当ブログ「音楽教室、ミュージシャンのための経済学」では、鈴木サキソフォンスクールの例を紹介しつつ、より具体的にごくごく初歩的なインターネットの活用法をご紹介していこうと考えています。是非皆様、ご参考にしてくださいね!